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キミとワタシの備忘録

太陽と洗濯物

ロマンスに揺れる約束。

 

 

 

秋雨の時期、空の機嫌は良くない。

夕飯の買い出しへ出掛け、済ませたと思ったら落ちてくる雫。

すぐ終わるだろうと傘も持たずに外へ出たものだから降る雨を前に途方に暮れる。

あぁどうしよう。濡れて帰るしかないか。

そう覚悟を決め歩きだそうとした時、隣に感じる人の気配。 隣に目を向ければ…

 

「あぁ、有岡さん。こんにちは。」

こんにちは。雨…降ってきましたね。

そう言って空を見上げる横顔に少し見惚れる。

 

「そうですね。私としたことが傘を忘れてしまいました。」

『それは大変ですね。…良かったら途中まで入っていってください。』

いえ、そんな…すぐ着きますから。大丈夫ですよ。

ここから家まで数百m、我慢出来ない距離ではない。しかし有岡さんは

駄目です、風邪などひかれては…僕が困りますから

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と真剣な表情で言うものだから。その言葉に甘えて傘に入れてもらう。

 

そのまま自宅まで並んで歩く。

わざわざ雨の当たらない家の軒下まで私を入れてくれれば、

『では…また。』

と来た道を戻る有岡さん。

《あぁ、わざわざ遠回りを》

その背中を見送れば、自分がいた方とは反対側の肩が雨に濡れている。

冷たい雨とは裏腹に彼の優しさに温まる心。

 

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有岡さんの姿が見えなくなるまで見送っていると、後ろからふわっと包まれる。

「慧さん、ただいま戻りました。」

『おかえりなさい、雨寒かったでしょう。』

「えぇ、いきなり降ってきたものですから。…有岡さんが傘にいれてくださいました。」

『…そうでしたか…。それで…。』

きゅっと少し強くなる腕の力に不思議に思えば、

 

『…有岡くんの匂いがします。』

声色から、切なげな目をしているのが分かる。

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《大丈夫ですよ》そう伝えたくて振り返り、抱きしめ返すと安堵の表情を見せて更に強く抱きしめられ…

 

 

私は貴方の香りに戻される。

 

 

 

  :  Can you love me ?  :